第210章 お父さん、この人は見覚えがある

中尾美希は咄嗟に身をひるがえし、車がはるか先まで走り去ってから、ようやく振り向いた。

前方には、遠ざかる車の影がわずかに残るだけ。

――見間違えるはずがない。

中尾美希が睨みつけるように追ったのは、中野航平が一番よく乗っている車だった。とりわけナンバーが、航平のものと寸分違わない。

自分を騙す余地すら、ない。

それなのに――どうして中野航平の車が、このマンションに入っていく?

まさか、本当に長谷川栞をもう一度取り戻した? それどころか、同居まで……?

いや。いや、そんなの認めない。

爪が掌に食い込み、痛みが走る。中尾美希は歯を食いしばって走り出した。

確かめる。たとえ死んで...

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